うたかたの日々

独り言です。twitterだと短すぎるなぁ…って感じのことを書くときに使います。

エクストリーム帰寮に参加した話 前編

どうもこちらではかなりお久しぶりです。私まろ(@karino_yadori)は2023年12月1日から3日にかけて、京大熊野寮さん主催のエクストリーム帰寮に参加しました。その時の体験談を備忘録として、あとは迫りくる卒論からの現実逃避として書いていきたいと思います。来年以降参加する方の参考になれば幸いです。地図などの詳細も書いていくので、ネタバレが嫌な方はブラウザバックをお勧めします。特に東の方向に飛ばされた方にとっては重大なネタバレ情報が含まれている可能性がございます。ご注意ください。今年は2週に分けて行われており、今週(12月8日出発)出る人向けに取り急ぎ前編のみ公開しておきますが、記事は今後随時編集していきます。

0. 申し込み~出発まで

今回はエクストリーム帰寮運営のTwitter(2023年12月現在正しくは"X"らしいですが普通にキショいのでTwitterで通します)アカウントで公開されているフォームから距離や連絡先などを記入して申請する方式でした。距離は自己申告ですが、50km前後の方が多いようです。

 

 

余談ですが、一人でも「チーム」扱いらしく、何人かから一人でこの距離参加するのはすごいですね、と言われましたが、私自身の感覚としては長距離を複数人で歩く方がハードル高いなあって感じますね。会話してると楽しいし気が紛れるけどなんか疲れたら仲悪くなりそう。私の性格が内向きすぎるからそう感じるのかもしれませんが。

 

とりあえず何kmで申し込もうかなって思ったんですが、まあもろもろの理由で70kmにしました。今年夏の東海道踏破(忘れないうちにいずれブログを書きたいです…) で一日40kmを連続で歩くことが可能なのは身をもって実証済みなので、どうせ参加するならそれ以上の距離歩きたいとは思っていました。50kmが多かったので60kmで出そうと思ったのですが、それはちょっと超えようとしている感がダサいという意見を賜り、まあそうかもなって感じた(あくまで個人の感想です)ので70kmにしました。このことを後悔するのはまた後のお話……

 

ちなみに10kmって数字にすると大したことないと感じるかもしれませんが、時間に換算するとおよそ2時間、疲れてるときは2時間半分くらいに相当するのであまり軽視しない方がいいです。とはいえ、せっかくの機会で短すぎて不完全燃焼に終わるのももったいないので難しいところですよね。個人的には、フルマラソンよりは長い距離で申告することをおすすめします。エピソードとして伝わるインパクトも大きいので。

 

さて装備ですが、これは参加した先人たちがいろいろ書いてくれていると思うのでそちらも参考にしてください。まず要項にスマホと現金(今回は2000円)は必須と書いてあります。あとは受付で反射ベストを貸与され、食パンを一人一袋もらえます。その他は自由で、私はリュックにいろいろ詰め込んで参加しましたが、手ぶらで参加している人もかなりいました。私が身に着けたもの・持参したもの、また持参しなかったものを括弧付きで必要度に応じて表記すると

★★★

・飲み物

・食料

・財布

・モバイルバッテリー

・ウォーキングシューズ

・ヘッドライト

・防寒着

・(雨具)

★★

・カイロ

・ホイッスル

・手袋

・イヤホン

・(湿布)

・方位磁針

・棒状ライト

・のど飴

・(熊よけ鈴)

・(アイマスク)

 

こんなところですね。★3つのものは必須です。特にヘッドライトは暗闇を歩く際に絶対あった方がいいです。スマホの光と反射ベストで十分と思われるかもしれませんが、これだけだと想像以上に心もとないです。あと車の運転手はこんな夜道にまさか歩行者がいるとは思わず猛スピードですぐ脇を走り抜けます(もちろん歩道なんてありません。田舎道なので。)から、明るいに越したことはないです。前をスマホで照らす必要がないのは安心感が段違い。持っていかなかったもののうち、雨具はシンプルに忘れていました。よくないね。湿布は舐めてたので持参しませんでしたが、2,3枚あると後半楽かもしれません。熊鈴とホイッスルはどちらかあればいいような気がしますが、わりと真っ暗な山の中に下ろされることもあるので、怖い人は両方持参するのがおすすめです。方位磁針は自分がどの辺りにいるかわからないことには意味がないので、使い方が下手だったのかもしれませんが役に立つ場面がありませんでした。そんなこんなで、12月1日金曜日の23時(参加者によって出発時間は違いました)に寮のロビーに集められ、車に乗っていよいよ出発。

 

1. いざ出発、現在地はどこ??

参加者はそれぞれドライバーさんに呼び出されて、複数人で出発します。場所を特定しないように、外の景色は見ないようにします。アイマスク等はなかったので上着で目隠し。同乗したグループの方々は50km手前のところで下ろされていきました。車内で現在地を予想したり山道っぽい道に緊張したりしているといよいよ到着。運転ありがとうございました。

 

下ろされたのはココ。

スタート地点。2.5km先に道の駅があるようだが・・・

パッと見て東に飛ばされたんだろうなということは分かりました。まあ車内の会話でも薄々そんな気はしていました。ただ現在地や進む方向を確信できる地名が見当たらなかったため、とりあえず下に表示されている道の駅へ。これが罠とも知らず………

 

道路の向こうには、川を挟んで山が広がっている

そして看板から後ろに振り返ると、見渡すばかりの闇。なんにも見えず、どちらに進めばいいかもわからない。そんな状態で京都から70km離れた場所に真夜中(このとき1時半とかです)放り出されたわけです。無事に帰れるのか…?歩くことになる道のりを考えると足がすくみます。

 

いざ歩き出す。送りの車のライトが遠ざかるのを感じ、孤独を実感しながら歩きます。2.5kmってすぐな気がするけど実際30分くらいはかかるんですよね。間違えるとダメージでかい。その割には、旅の始まりの高揚感から慎重に検討せず歩き始めてしまったのは反省。川の流れを見てどっちが上流か判断するとかそのくらいはするべきでしたね。

 

↑こうして見ると違和感に気付いてはいるんですよね。この勘を大事にすべきだったか・・・

 

 

歩いていると看板はそこそこ出てきて、なるほど釣り人には人気の場所なのかな、と理解。しかし肝心の地名にピンと来ない。ペーパードライバーなもんで、なかなかこういうところに来ないんですよね。

鮎が釣れるらしい。しかし地名を見ても「?」という状況・・・

 

 

時折風か動物か、木がガサゴソ揺れる音を聞いて震え上がったりしていると、なにやら集落の雰囲気。看板はちらほらあるけど特に情報はナシ。何かしら手掛かりはないかな~と店らしきものに近づいてみると暗闇の中に「Welcome to my Garden」と書かれたちょっとした工具やらが散在してる中で草が茂ってる空間があって本気でビビりました。私有地?ぽいので画像は控えますが普通にホラーゲーム始まったかと思った。

 

 

 

ただ道路標識や看板は比較的豊富にありましたし、郵便局なんかがあったり家々が点在している道が意外と長く、真っ暗とはいえいざとなれば安全は確保できそうだったのでそこは安心でした。ちなみにこの頃Twitterでは、同じくエク帰に参加している同志がそれぞれ下ろされた場所から帰寮を開始している様子の実況が始まっており、楽しみながら歩くことができました。

 

そんなこんなで道の駅に到着。

ここで広域地図を見て(もともとそれが目的で道の駅に向かったわけですが・・・)、よく分からないながらも、どうやら二択を間違えたらしいと悟ります。

周辺の観光名所がよく分かる地図。でも肝心の答えをくれない。

元来た方向に東近江市・・・?つまり・・・?

 

一応北の方に行くとあるらしい多賀町とか愛東という地名には見覚えがあり、でも東近江市街(東近江なるものがどの辺りかわかっていなかった。実際東近江市はかなり広いらしく、鈴鹿山脈から琵琶湖岸まで東西に長い市域を持つ*1)に向かった方が京都には近いんじゃないか?などと考え、埒が明かないのでパンを一枚食べて辺りを散策。一旦は引き返さずそのまま進もうとしたものの、登り坂が続きそうなこと、そしてここで初めて愛知川を観察してみると今来た方向に向かって流れていること(つまり上流に向かって進んでしまっていた)、そして、

青く光るそれは、私を導こうとしているようにしか見えなかった・・・

 

この看板を見てしまったことが決定打となり、引き返すことを決意。20km歩けば市街地と分かったことは大きかった。結果的にこれが英断だったようです。このまま進んでいると、

 

この上の道を進むことになります(Aは道の駅奥永源寺、Bは仮の合流地点、Cはスタート地点、縮尺についてはA-C間が2.5kmとしておおよその距離を推定してください)。見た目上は案外変わらないようですが・・・

お分かりいただけるでしょうか。そう、上の道はひたすら山道なんですね。実際進んだ下の道は、三日月上の大きな永源寺ダムを過ぎるとあとは平地で一本道が続き、メンタル的には楽になります。一方で上の道は、山道を歩く不安な時間が長く続く上にアップダウンもかなり激しそう。歩いたわけではないので正確なところは分かりませんが、なんとなく負担が大きそうで、こっち進んでいたらどこかで心が折れていた可能性もあります。進む方向は慎重に決めて、その上で間違えたら引き返す勇気が大切ということですね。

 

ここまでのまとめ的なアドバイスですが、現在地を特定する場合、なるべく早く地図らしきものを見つけ、もし地名でピンと来なければ近くの川の流れる方向など自然の目印や方位磁針(私はうまく使えませんでしたが)を有効活用できるといいんじゃないでしょうか。(今日出る人向けアドバイス、編集で消します)

 

さて引き返して今来たばっかりの道を進んでいきます。この時点で2時50分。1時40分頃開始して2時半前に道の駅に到着したことを鑑みると、休憩時間含めて30分くらい何も進んでいなかったことになります。寒い(気温は見ていませんが同時間帯で0℃前後という複数の参加者のツイートがありました)中これはかなり痛い。真っ暗な道を二重の意味で震えながら歩くこと30分・・・

スタート地点に到着。90分何も進捗がなかったばかりか、体力(とパン)が相当削られてしまいました。このままではまずいと気合を入れ直し、明るくなる前に街の灯を見んと進みます。

 

山道を下っていると、近くから動物の気配が。ヘッドライトをうっかり向けてしまい、キャーーーー!!という笛のようなあるいは断末魔のような、甲高い鹿の鳴き声が。このまま襲われたらどうしよう、これに反応して熊なんか出てきたら本当にまずいな・・・と道中一番の恐怖を覚え冷や汗が止まりませんでしたが、なんとか幸運にもその場を切り抜けることができました。暗闇を支配する動物に時折後ろから轟音とともに猛スピードで抜いていくトラックに、人間の無力さを感じるひとときでした(いい感じのまとめ方をするな)。

 

 

 

こうして山道を抜けて(この時には抜けたかどうか確信はしていないわけですが・・・)永源寺ダムに到着。到着直前にはオカルト的な意味で怪しさ満点のトンネルを通り抜け、霊感なくてよかった~と思うなどしました。

怖すぎる・・・!!逆に何もいないことある?これで

これ歩道と車道同じ広さなんですよね・・・なんだか不気味。

 

 

ダムの中心地らしきところで、新たな地図を発見。

永源寺ダムの概要」

この地図が決定打となり、現在地の確信に至ります。ちょっと見にくいんですが、これ東海道線まで表示されてるんですよね。これにより少なくとも道なりに進めば近江八幡に行けるということが分かりました。さらにここから少し進んだ地点で「近江八幡」の文字が含まれた標識を発見し、ようやく帰寮の目途が立ってきました。

 

 

つづく・・・